富士山にて(9/5追記)       9月2日

 8月28日に富士山に登り、29日の祈り合わせに参加してきました。富士山を直接見るのは2年ぶりでしたが、大きな変化を感じる事はありませんでした。
 山の一部では水蒸気の発生が見られるなど時々騒がれていますので、実際にはエネルギーが下に溜まってきていると思います。火口からそういったことを感じ取れると良いのでしょうが、その辺りは専門の方の仕事です。

 彼らの自然界とのやり取りを耳にしました。大きなリスクがあるという状況はいつもの様に続いている感じでしたが、人々の動きに問題が多い事を懸念する状況が増えている事には変化を感じるところでした。
 人工的に地震を引き起こす方法は、爆弾を使って地殻に直接影響を与える方法がある程度確立されているようです。この状況を懸念していました。

 こうしてみると、実際に今年の5月21日の久米島のきのこ雲が爆弾による物か、自然の海底火山の噴火による物か、その区別は難しいと思わされます。場所の選択がその実験を思わせる事は確かですが、不自然ではありながらもこれが誤爆だったのかは明確には分かりません。
 もし爆弾なら、これを地震を科学する目で見ると、非常にリスクの高い実験であったかもしれないと認めざるを得ない状況です。

 今書いている本にも説明しているのですが、津波や地震を爆弾で作り出すのはある程度可能です。予定通りの地震や津波が起きると考えているのかも知れませんが、その結果は起きてみないと分からないのが私たちの地震科学に対する理解の現状だと思います。
 実験という目で見ると、尖閣に関連する紛争、戦闘時に地震と津波を利用する基礎データーを集めている事になります。結果として動かさなくても良いフィリピン海プレートを大きく動かしてしまうリスクには、あまり大きな関心が払われていないように思います。

 現実のフィリピン海プレートですが、彼らの警告通り29日の朝4時過ぎに九州沖でのM6.1の地震がありました。電気も流れていた環境下なのですこし大きめになった物と思います。
 この地震と直接関係あるかは分かりませんが、翌日30日の朝9時頃には阿蘇山の小規模噴火も起きています。誘発とみるかは判断の難しいところでしょう。
 九州では桜島はずっと活発で、諏訪瀬島も28日に噴火しており、口之永良部島の火山ガスの放出も含めて現在のプレート北西部の活動の高さを表しています。

 現状まだプレート北西部の緊張は続いており、奄美大島周辺、石垣島周辺、台湾まで含んでM6クラスのリスクは残しています。そろそろ北向きに変わるかと思っていますが、まだ関東の方面には緊張が戻っていません。
 変化の様子を知る事がこちらの今後の参考になっています。もし必要と感じる場合は追加の情報提供をします。プレート北側がM6以下で揺れる分にはそのままです。よろしければ前回のHPに載せた祈り合わせに協力頂ければと思います。今月10日までフィリピン海プレート北側の地震には注意喚起です。

 富士山頂はいつもよりも寒くて、登りも下りも頂上付近はみぞれでした。気温は氷点下ではなく真冬並みですんだので助かりましたが、今年の日本の夏を象徴する状況であったようです。明け方空は赤く染まりもう少しで太陽が出るところでしたが、ご来光はぎりぎりで見えませんでした。
 ニュースにもなったようですが、今年の富士山登山者は天候不順の為に数が減っているとの事でした。大阪でも猛暑日がほとんどなかったと思います。広島にも集中豪雨の大きな被害が起き、これまでに起きている自然災害とは異なる状況があります。

 気候の変化に向き合う必要があると思います。今年は涼しいので地球温暖化が足踏みしている事にされてしまうと思いますが、寒い時期が続けばその反動で暑い時期が続くのがこの種の変化における時の流れだと思います。
 エルニーニョが遅れていると言われていた割には、冷夏と言わないにしてもいつもと違う夏だったと思います。まだまだ思わぬ変化が続き、これが普通になってゆくのかも知れません。

 9月の情勢の変化ですが、日本の政治も動いています。こちらは内閣改造がすんでしばらくしたら見直しをしたいと思います。
 ロシアとウクライナの状況には動きがありましたので、簡単に説明しておきたいと思います。ロシアも動かざるを得ない状況になっているようです。

 ウクライナ東部の二つの州が連合を組んで国家として独立する事を考え始めています。これまではウクライナの内部で連邦を構成し、大きな自治権を獲得するという方向性で来ていたと思います。
 この動きがウクライナ側の大きな抵抗にあっており、連邦という仕組みではうまく機能しないと判断されているように見えています。

 ロシアが東部のドネツク州やルガンスク州の独立に向けて介入するようであれば、紛争が長引き失う物が多い事になります。これを避ける戦術を始めからとってきましたが、ここに来て覚悟を決めると言うか、少なくともその演出をすることで、事態の打開を図るのかも知れません。ある意味勝負に出てきているのです。
 この先様々に情報が流される事になると思います。ロシアとEUはそれぞれに経済的な利益を失いながら交渉を続けると思いますが、アメリカはどちらかというと傍観者です。

 IMFが当面の資金を14億ドルほど融通するという情報も流れましたので、資金のぎりぎりつながる中でのやり取りが今月のウクライナです。ポロシェンコ大統領にとってロシアの介入という脅しがどれだけ影響するか、EUが戦争への介入を嫌うかどうかが試される様です。
 この状況だとマレーシア航空の件は、解析内容にロシア側に不利な物で公表されると思えています。そこから一度ロシアの反論を経て、実際にどの様に動くかが見えてくるのではないかと思います。

 EUは領域の平和を守ろうとするように今も見えていますが、アメリカの対処は両面作戦という感じで、まだこれを利用して手にしたい物があるようです。
 ロシアのガスを封じ込めてアメリカのシェールを持ち込む事も不可能ではないのですが、急速に減ってゆくシェールを持ち込んだところで長期戦には不利ですし失う物の方が大きいでしょう。残りは経済に混乱を引き起こす事なので、迷惑この上ないのですがこの芽が最後まで残ってゆきそうです。

稲生雅之
9/5追記
 9月3日にM5.2の地震が栃木県北部で起きており、その後も同じ場所での揺れが続いています。この時の揺れの地図を添付します。
 揺れ方が特徴的であることに気づくと思います。千葉県と新潟県をつなぐ面上が大きく揺れています。これは柏崎・千葉構造線と棚倉構造線と呼ぶ線に囲まれた領域です。この線上で地質が変化するので、添付のように揺れの境界線が出来る物です。
 この揺れ方はプレートのずれだけでなく、この境界線上での地震を誘発している可能性があります。

 5月3日に焼岳付近で地震が発生し始め、5月5日にM6.0の地震が小田原沖で起きています。状況はこの時の物に似ており、焼岳の代わりに栃木県北部になっています。
 今この場所から近傍の構造線を刺激するのみならず、その場所自身での大きな地震にも可能性が出ていると思います。   
 M5.2を前震と考えると、新潟から関東広域にM6の可能性が出てきます。千葉沖の南側で揺れるサインが弱めに出ていますが、リスクとしては広域に注意喚起したいと思います。9日の満月トリガー前後数日間、12日頃まで様子見が必要です。栃木県北部の地震がある程度収まるまでです。
 揺れが大きくなるサインがあればまたお知らせします。