関東深部地震と地殻変動      2月17日

 関東の深部の地震を説明するためには、約500万年前に起きた太平洋プレートの移動方向の変化について説明する必要があります。この変化が起きたためにフィリピン海プレートはこの時期に大きな変化を起こしており、その結果関東の深部で太平洋プレートと衝突することになったのです。
 この変化は現時点で学説の認める物ではないのですが、古い学説が過去のデーターにしがみつき、新しく出てきたデーターとは矛盾が広がる一方なのです。次回以降の説明も必要になり遠回りとなりますが、この部分も含めて説明したいと思います。

 日本列島は数億年前にアジアのプレートの端に生まれ、数億年分のプレートの沈み込みの影響を受けて島になってゆきました。
 今から2500万年くらい前に日本海の拡大が始まり、これに合わせて西日本と東日本が太平洋側へと張り出してきて、今の地形に近いところに到達したのが1500万年前でした。フィリピン海プレートのイラストの地図になります。

 当時のフィリピン海プレートと日本列島の衝突は、今の丹沢山系ではなく、長野県の諏訪湖の南側で起きていました。現在フォッサマグナと呼ばれる構造線があるのですが、この赤石山脈の部分に堆積している岩石類は、当時の衝突から生み出された物なのです。
 堆積岩の中心部分には、北の先端から少し東にずれながら南は日本平の高草山まで火山岩の列がつながります。これはここにフィリピン海プレートに太平洋プレートが沈み込んで起きる火山の列が存在していたことを表すのです。

 500万年前に太平洋プレートが西向きから現在の方向である西北西に向きを変えました。この時に日本列島に沈み込む太平洋プレートの先端位置がずれることになり、同時にフィリピン海プレートに生み出されていた火山の列も東へ約80km動くことになりました。元の場所から移動して、この約80kmずれた場所に新しく火山が生まれることになったのです。

 その場所が現在の丹沢山系であり、新しく東にずれて生まれた場所だけに、その北側に古い火山島列を持たなかったのです。
 500万年前の太平洋プレート回転の証拠は、フィリピン海プレートの分はイラストの2に説明しています。太平洋プレートの証拠とインド、アジア大陸の関連証拠は来週かそれ以降にここで改めて紹介したいと思います。

 太平洋プレートは西北西に進んでおり、日本列島の下に潜り込んでいます。関東の下部にも当然そのプレートは存在しています。これに対して、フィリピン海プレートはその沈み込みの上部に重なる感じで北上する動きをしています。
 1500万年前の時点では、フィリピン海プレートが太平洋プレートを押している部分もあったのですが、この時点ではフィリピン海プレートの衝突面が日本列島の直下に潜り始めた所でした。そのかなり下の部分に太平洋プレートは存在していましたので、この時点では大きな問題にならなかったのです。

 500万年前の東への80kmのずれは、伊豆弧の火山部分の火山岩類を持つプレートが関東直下へと沈み込む始まりになったと思います。それまではもう少し西側で沈み込んでいたために、太平洋プレートと衝突するまでには長い時間が必要でした。
 このずれにより、固い部分は関東下部へと沈み込んでいきました。現状年3cmと言われる速度です。500万年では150kmになり、ちょうど関東下部に到達出来るのです。

 速度の計算や時期の見積もりには100万年単位の誤差がありますので、もう少し早く沈み込みが始まり、その結果やっと現在フィリピン海プレートと太平洋プレートが衝突したのかも知れません。ここでの問題は過去の正確な時期ではなく、地震解析から見る関東平野の下部には、この二つのプレートの衝突の姿が見えていることです。

 衝突してその後もどんどんフィリピン海プレートが北上を続けるとどうなるでしょうか。イラストに描いたようにある場所で太平洋プレートを突き破った後はその北側のプレートを北へ押し広げてゆく事になります。太平洋プレートは引き裂かれて、そこに中央海嶺という大陸プレートの生まれる場所が誕生することになります。

 マントルに海水を注入すると温度が下がるのですが、冷えて固まるよりも溶けてマグマになる反応が進むのです。水が加わって温度が下がると溶ける状態にある事と、冷えすぎないようにどんどん熱が下から供給されるので、マグマを大量に生み出すことになります。
 その結果裂け目にはマグマが大量に生み出されることになり、下からはマントルがどんどん浮かび上がってくる事となって、中央海嶺に成長してゆくのです。
 本来これは数百年から数千年という単位での話になりますが、ここに富士山の大噴火が重なると、この時期を早めてしまうのです。

 フィリピン海プレートの裂け目に富士山のマグマ溜まりがある話をしています。もし富士山が100立方kmもの火山灰を出す大噴火を引き起こすと、フィリピン海プレートを押す圧力が急激に低下します。その結果で急激にフィリピン海プレートは南に引き戻されます。同様に太平洋プレートの接触部も南に動くのですが、その結果割れ目や裂け目を生じると共に、その場所の下側に減圧部分が生まれてマントルからマグマが生まれることになるのです。

 マントルには水を足しても溶けるのですが、圧力を低くしてもマグマが生まれてくるのです。そして生み出されたマグマはその浮力に従い裂け目を浮上して地上へと出てくることになるのです。富士の噴火が激しければ激しいほど、早く進む反応になると思います。その結果この形でも中央海嶺が生み出されて、そこから成長してゆく事になるのです。

 長い目で見るとこの大規模な地殻変動により、地球の大陸が再び一つになる事を防ぐことになると思います。一つになると恐竜が生きていた時代の気象状況に戻るので、人類には厳しい世界でしょう。大陸がばらばらで、海流の循環が南北の温度を平均化出来る今の状況は、私たちの生存に適しています。

 大きな意味ではこの為の変化が起きてくることになるのでしょう。先延ばしは出来ると思いますが、止めることはほぼ不可能だと思います。
 今この地殻変動が起きるのは避けてほしいと思います。今の状態ならばそれほど高い確率で富士山の大爆発が起きるわけではありません。富士山のマグマ溜まりが地下15kmから10km5kmと上昇してくると、大規模噴火が起きやすくなるのです。

 現状では311の様な地震が富士山周辺で2~3回起きない限りは大丈夫と思いますが、両側のフィリピン海プレートに大地震が同時に起きないとは、残念ながら言えない情勢です。
 富士山の噴火は規模がピナツボ山の噴火並みでも大きな被害を及ぼします。また、続いて起きる関東深部地震もM7クラスになり得るので、対処が必要でしょう。

 噴火の予知には現在の技術では不安のある事が御嶽山の噴火の現実より明らかになりました。今以上の観測が必要になります。また、関連地震の予測も重要になります。
 結局地震予知の話に戻ることになるのですが、こちらの伝えたい放射能の反動がなかなか思うようには伝わらない事もあり、この予知の話を公表に向けて見直しています。

 予知を規模の小さな地震まで行おうとすると、誤報が起きて良くないと言うことは理解しています。それであれば、M7クラス以上などの強い物だけの予知に限るようにすれば誤報は減らせます。今の時点では小田原地震、南海トラフと東海地震、関東深部地震になりますので、取り敢えず東海地震はクリア出来るレベルのでの公表を検討しています。

 もちろん誤報を心配される方々と調整しています。少し先伸びするかも知れませんが、福島の子供達だけでなく日本人の健康その物も食品を通じて影響を受けており、放射能の反動は重要な情報なのです。早く伝える必要性も高いのです。
 一般的な放射能の話は政府により反論されますが、放射能の反動は高校生の物理現象であり、物理学科の大学生の計算です。科学的な反論はほぼ無理なので彼らは非常に困るでしょう。広まるといずれ国民が怒り出して、その後の変化につながると期待しています。

 噴火の予知と地震の予知ですが、今の状況では関東深度地震の予測は難しいです。深い場所の事は距離がハンデになって、必要な信号が届いてこないのです。
 この場合でも地震の予測が出来るように、地下に流れる地電流を計測する開発を提案しています。富士山の噴火予想で地下にトンネルを掘ることを提案していますが、そのついでに地下から地球の環電流への流れを計測すれば、予知が前進すると思います。

 ここで開発する地電流の計測は、リングを通じた計測が出来るようになれば日本各地の断層の計測に使えることになります。1つの断層に対して複数の小さなリングを使って断層の状況を計測し、近傍の地殻の動きを予想するのです。この実現により深い場所の電流が地上に上がってくる物を捉えたいと思います。関東深部地震の予知に役立てられるように進められることを願っています。

 富士山の噴火予測や噴火対策も、地下にトンネルを掘るといろいろな事が可能になります。500億円くらいである程度のことが可能で、ハワイのスバル望遠鏡のレベルです。
 噴火で実績のある物としてミューオン計測があり、マグマの位置が分かる可能性があります。地下からならマグマ溜まりに近い分、傾斜計という山体の膨らみを計測するのも精度が上がるだけでなく早く反応するでしょう。避難に時間が取れることになります。

 多くの人々の意見も含めてよく考えることになると思いますが、マグマ溜まりのガスを抜き取ると火山灰を減らせるはずです。アイデアレベルですがきちんと検討すれば良いことです。マグマが上昇するときに発泡して火山灰になるので、事前にマグマ溜まりの発泡ガスの抜き取りを行えば、気の抜けた炭酸飲料のようにあまり発泡しなくなります。火山灰噴火が溶岩流出型の噴火になれば良いことです。

 富士山の噴火の関連には、様々な地震や火山灰被害など、私たちの向き合うべき問題がたくさんあります。国民の被害ばかりで政治家の利益にならない物は無視されるという現状では、多くの人々が被害を受けてから怒ることになるでしょう。
 これでは遅いし311で政府の対応に失望している以上、国民が政府に物を言う必要があるのです。署名による司法権の行使はこういった所にも役立つので、今の社会の問題点を解決するために私たちが変わってゆく事になるのでしょう。

稲生雅之
イオン・アルゲイン