311地震の連鎖の仕組みと南海トラフの連鎖 6月30日

 富士山のマグマ溜まりと三宅島のマグマ溜まりが台湾付近に地震を起こす上で、熊本地震による中央構造線の大きな動きが利用されています。この説明をするイラストを準備しようとした過程で、地震の連鎖の仕組みを見直すことになりました。その結果ですが、311地震をあれだけ大きな物にし、複数の地殻の連鎖を引き起こしたのは、富士山のマグマ溜まりが主因である事に気がつきました。南海トラフの動きにもそのまま当てはまることなので、その説明をしたいと思います。
 これまで311地震のトリガーになったのは栗駒山である事を説明してきています。栗駒山と富士山のマグマ溜まりの軸上の交点で大きなマントルの動きが衝突し、大きな群発地震が起きて311地震の本震につながっています。
 東北地方太平洋沖地震と呼ばれるこの地震は、宮城県沖、三陸沖中央、三陸沖南部、福島県沖、茨城県沖に大きな地震が同時に発生した物になります。この中では宮城県沖の富士山と栗駒山の交点のエネルギーが最も大きかったと思われ、このエリアは311地震から5年も立つのに、未だにこの場所での地震発生率が低いままです。大きな地殻の損傷だったと思われます。
 地震の発生にいたる状況を見ている中で、2010年始めから400km前後の深い場所での地震が続き、東北地方のM5レベル以上の地震の発生が抑制されている様に感じていました。これまでに考えていた連鎖の仕組みとしては、この抑制が大きな宮城県沖の地震から周辺を同時に動かす事につながったと考えていました。

 実際の所は隣が動いたからその影響を受けたと言うだけの物ではありませんでした。マグマ溜まりが押し続けるエネルギーが利用されて、その押しに関連して変動を受けた部分が動くことになっていたと思われます。マグマ溜まりのマントル運動軸上に添って、その影響が広がっていたのです。イラストにマグマ溜まりの軸と実際の群発地震のデーターを載せていますので参照下さい。
 まず栗駒山です。栗駒山の位置から311地震の震源地をマントルが押すとします。すると富士山の動きと衝突して抵抗の大きな場所である宮城県沖の震源地には大きな群発地震が発生します。この群発地震が本震に至るとき、マントルの押しの力はその先にある三陸沖南部の群発地震の位置を一時的に強く押すことになるでしょう。これはプレートの動く方向からも明確な現実です。実際に三陸沖南部のこの位置が同時に動いたことで、あれだけの大きな津波が起きたことは、地震学者も認めているところです。
 同様に考えると、富士山が押している先には三陸沖中央部の群発地震があります。ここも影響を受けて動くことになったのでしょう。
 富士山の場合宮城県沖からは遠く離れており、そこに至るまでに複数の群発地震を小さく起こしていました。普段から地震の起きやすい場所に地震が起きている状況ですが、この時は栗駒山のマグマ溜まりが潰れておりその近傍のマグマ溜まりにも影響が及んでいたようです。蔵王山には影響がなかった様子ですが、上記三陸沖中央部は北側の秋田駒ヶ岳の物であり、南側は吾妻山の物と思われます。ここにも群発地震が起きており、強い力を受けると大きな地震が起きやすくなっている状況でした。

 これ以外で目につく物は茨城県沖でした。ここには少し大きな地震が起きており、フィリピン海プレートの動きが現れていたようです。この部分は偶然かも知れませんが、茨城県北部と合わせて普段から地震の多い場所です。
 富士山のマグマ溜まりが宮城県沖を押し続けるときには、その中間である吾妻山のマグマ溜まりにも大きな力がかかっていたでしょう。同様に茨城県北部にも大きな力がかかり、となりの茨城県沖の地殻を刺激していたのでしょう。その結果宮城県沖が大きく動くときに、その影響を受けてマントルが大きく動き、このエリアにも大きな歪みをもたらしたのでしょう。そして宮城県沖から大きな地殻変動が伝わる中で、同時に大きな地震を起こす事になった物と考えます。
 311地震をあれだけ大きな物にする連鎖を起こした理由は、二つのマグマ溜まりの大きな活動にあったと思われます。それぞれが大きな力で一点を押し続けたことが、その崩壊時に周辺への力の広がる影響を起こした物でしょう。大きく動いた宮城県沖の地殻に隣接する場所では大きな地震が起きて当然ですが、その中にマグマ溜まりのマントルの動きが重なって存在する事で、震源地から離れたその他の場所が大きく動かされるエネルギーを受け取っていたのでしょう。

 栗駒山のマグマ溜まりが2008年の岩手、宮城内陸地震M7.2で大きな影響を受けていたことが311地震の主因になったことはこれまで説明してきた通りです。マグマ溜まりは活性化して宮城県沖と三陸沖南部に地震を起こしたのでした。
 富士山のマグマ溜まりとの衝突がこの地震の原因ですが、富士山のマグマ溜まりは三陸沖中央、福島沖、茨城県沖まで影響を広げています。このエネルギーはどれほどの物かを見てみたいと思います。
 富士山のマグマ溜まりは日本の中でも特殊な位置にあります。フィリピン海プレートが北上して日本列島に衝突する先端に位置します。先端がここにあるのはフィリピン海プレートの東側の火山列の先頭であるからです。数百万年前は丹沢山系だったと思われますが、衝突が続く中で今は富士山が先端です。
 この位置が特殊な理由は、フィリピン海プレート全体の北側への押しがこの位置に集中出来る地形をしていることです。北米プレートに太平洋プレートが向き合う様な平行にぶつかるかならば、そのエネルギーは平行な中で分散されて各火山に分散されるでしょう。これに対して富士山は大きなプレートの先端に位置してエネルギーが集中しやすい構造なのです。この事が原因で大きな影響力を持っているのでしょう。単なる力学的な力の集中です。

 私たち日本にとっての問題は、この富士山のマグマ溜まり動きと共存する必要があることです。そして311地震で見た連鎖の仕組みは、南海トラフでも同様に起きうる物になり、過去から実際に起きてきていると思われます。過去には地震計もなく、地震が起きた記録がある程度です。これでは今こちらが知りたい連鎖の仕組みを確認することは出来ません。
 想定で考えることは可能です。富士山と白山のマグマ溜まりが何らかの理由で大きく活性化したとします。イラストの位置では紀伊半島の先端部分に大きな群発地震が起きて来ると考えて下さい。この時白山のマグマ溜まりの影響を受けて、御嶽山も群発地震を起こすでしょう。東北ではこの様に連鎖してきています。
 この仮定では富士山のマグマ溜まりの南向きの活動が活性化しているので、大きな群発地震が本震に至るときに、御嶽山の群発地震の位置である志摩半島南側にも311地震と同様の影響が及びやすいでしょう。その結果は南海地震と東南海地震の同時発生です。
 東海地震は富士山のマグマ溜まりが直接引き起こすケースと、富士山の南側のマグマ溜まりにエネルギーが伝わり、その先の群発地震位置に本震が起きるケースの二通りが考えられます。どちらにしても連動する条件が整えば連動出来る地震になると思います。くの字に折れ曲がっている富士山のマグマ溜まりは、北側が大きく南海トラフや東北地方に影響しますが、南側の分は東海地震関連で駿河湾地震を起こす程度です。マグマとして低周波地震を起こしているのも北側です。噴火は両側から起きるのですが、地震活動の主力は北側でしょう。
 南海トラフの地震はリスクに備える必要のある物であり、阿蘇山の4連動までを考えることは現実的だと思います。1968年の日向灘の地震M7.5は阿蘇山と富士山のマグマ溜まりの交点に近いので、これが実例でもありこの分までを考える必要があると思われます。その他では大山や神鍋山など、四国の南側の群発地震に注意すれば良いと思います。

 4月16日に起きた熊本地震ですが、この地震により単なるマグマ溜まりの潰れだけでなく、プレート運動を加味した地震のメカニズムを明確にすることを促されました。中央構造線が動くことにより、その中央にあるマグマ溜まりが潰されることで、阿蘇山は地震だけでなく2度の小規模噴火にも至りました。プレート運動はマグマ溜まりを潰す主因であり、プレート運動から起きて来る地震も考えないと、地震の予知は出来ないことを明確にされました。
 311地震との比較も重要であり、熊本地震では阿蘇山に加えて九重山、由布岳、鶴見岳、伽藍岳の活性化が起きています。311地震の時は余震域を広げる結果を残しています。秋田駒ヶ岳と吾妻山の余震域の広がりをイラストに再録しましたので熊本地震の分と合わせて参照下さい。日本ではプレートの動きとマグマ溜まりの潰れが絡みあって地震を起こしているのです。
 こちらの説明では熊本地震以後に発生した台湾地震は、自然の意図した物であるという事になります。311地震の地震予知を可能にするデーターまで今回のイラストに紹介出来るほどの科学なのですが、地震の科学が進んで予知が出来る様になったところで、自然界の意図に向き合うことになるとは夢にも思いませんでした。まだ実績が少ないので信頼されにくいのですが、この先ずっと統計的に証明して行けるレベルです。
 先史文明の遺跡が善と偽善の2つに分かれて争いを続けてきたことはこれまでに説明してきたところです。私たちの社会にもこの両者が存在して政権の内部で争っていますが、この現実を知る人は少ないのです。自然の起こす地震にもこの両極が存在しているのです。以下これまでの起きている地震の色分けです。

6月24日以降の地震
24日 台湾東方沖M6.1地震で蔡総統の外遊出発日にクーデターの警告。この日イギリスがEUより離脱する事が国民投票で決まった。偽善との争いが激化する始まり。
25日 樽前山の起こした3つの地震で、苫小牧東部の断層地震の被害への警告、苫小牧でのCO2貯留実験の停止を求める。
26日 タジキスタンと中国の国境付近のM6.4地震で、こちらの情報の立ち上がりへの邪魔をする地震。(4月14日のミャンマー地震M6.9と同じ意図です。マグマ溜まりの噴火と地震のメカニズムを科学として情報公開しようとしていた所に、プレート型地震を起こされました。)
27日 福島沖M5.8と新潟沖M4.4地震で上記地震のプレート運動の影響を受け流し、同時に長岡のCO2貯留実験を批判し回収を求める。原子力発電所のリスクも同様に警告している。(4月16日以降の熊本地震の発生に相当し、当時はこの地震を利用して台湾地震への準備を始めています。)
28日 台湾東方沖M4.7地震でクーデターの実行日への警告。

 CO2貯留実験と原子力発電所への批判は前回の記事にまとめていますので、そちらを参照下さい。自然界のメッセージとしか思えない意図の現れになっています。
 こちらの様な専門知識のない一般の人にももう少し分かりやすく、彼らの意図を明確に表してほしいのですが、今はその状況を待っているところです。
 これまでに、自然は平和を守るために5月20日の蔡新総統の就任式に合わせて5月12日と5月31日にM6クラスの地震を3回起こしています。上記にある6月24、28日にも地震は続きクーデターへの警告を続けています。
 台湾の地震は三宅島と富士山のマグマ溜まりを使って琉球列島の載るプレートを動かす事で、大きさや深さ、位置を調整して引き起こされていると思われます。この部分の地震の起き方には偶然ではなく意図を感じざるを得ないのです。力学的な物なので一般の方には分かりにくいのですが、24日と28日の地震はクーデターへの警告としてタイミングが調整されており時事ニュースとの対比で分かりやすいと思います。
 このレベルの大きさの台湾地震は準備なく起こせる物ではありません。富士山のマグマ溜まりから奄美大島にマグマ溜まりのマントルの動きを伝える必要があるのですが、その途中に群発地震を起こす白山や御嶽山が存在すると、エネルギーが適切に届かないだけでなく大量にエネルギーを送るときに南海トラフの連動地震を起こしやすくなるのです。実際に4月1日には紀伊半島先端でM6クラスの地震が起きており、その翌日の御嶽山は噴煙を高める結果になりました。
 この状況では台湾に地震を起こすと同時に南海トラフにも地震が起きてしまいます。それを防ぐために熊本地震が利用されているのでした。
 熊本地震はプレートの動きから生まれた地震であり前年の桜島の起こした地殻変動により準備されていました。そこに4月14日のミャンマー地震によるプレート変動が加わって発生した地震です。ユーラシアプレートの大きな動きを日本列島にもたらし、南北の中央構造線を大きく動かす事になったのです。詳細は関連記事を参照下さい
 その結果ですが、大山、白山、御嶽山のマグマ溜まりが刺激を受けても、中央構造線の動きに邪魔されて、群発地震の発生が富士山のマグマ溜まりの軸上まで届かないのです。マグマ溜まりのマントルが動いても、動いている中央構造線にぶつかることで、その場所でエネルギーを解放する様にされていたのでした。
 この状況を作り出してから、5月12日以降の地震が引き起こされているのは現実です。

 ここまでする必要があるという事を考えてほしいのです。これはそのまま南海トラフの地震が起きるメカニズムであり、私たちを苦しめた311地震のメカニズムでもあるのです。ここから多くのことを学び、地震や噴火の予知が出来る様になっています。イラストに添付した様に大きな地震が起きるときには、大きな群発地震と多量の微弱地震を伴うでしょう。この種の前兆なくして大きな地震がいきなり起きる可能性は低いです。400kmなどの深い部分の地震はこの種の前兆を伴いませんが、津波も伴わず大きくても深い分被害の少ない地震でしょう。将来電磁気的に前兆を捉える事になると思います。
 この前兆が現れる状況にいたる前に、善と偽善のせめぎ合いが起こり、その結果として地震が起きて来るのです。M5前後より弱い地震にはあまり意図が感じられす、偶然の範囲で起きてゆく物も多いと思います。小さな地震ほどマグマ溜まりとプレート運動のセオリー通りに起きています。それでも中には位置とタイミングが調整される物もあり、その先の大きな地震につながっていたりするのです。
 この先起きて来る大きな地震にも必ず前兆は伴うはずです。科学の進歩がこれを捉えることは可能ですし、電磁気等を利用する事で今の地震波しか見ない予想よりも大きく進歩出来るでしょう。
 地震の予知に関しては、まず善と偽善とのせめぎ合いが根底にあるのです。完全に予想することは難しいと思われます。上記の様に連鎖するM9レベルの大きな地震を前兆なく引き起こすことは難しいのですが、M6レベルの地震は地震解析上の前兆はなく起きて来る物が多いです。これらの地震が断層上に発生する時には電磁気的な予想が役に立つと思っていますが、善悪のせめぎ合いの中で起きる部分には突発性の物があり、予想は完全にはならないでしょう。リスクのあるエリアには警戒が必要ですし、私たちが地震に備えることが最も重要になることは今と変わりありません。
 技術の進歩は多くの人々の地震に対する恐れを大きく変える事になりますが、備えなければいけないリスクも同時に今まで以上に明確になるでしょう。原発の立地も同様ですが、断層の近辺に住むリスクは認識されているとは言いがたい現状なのです。
 そして何よりも日本は富士山の噴火から、関東直下に中央海嶺の誕生を招くほどの大きな地殻変動が起きる手前にいるのです。このリスクに備える事が先史文明の遺跡に託されているのです。科学の予想はこれを助ける役目を果たしますが、被害に備える心を忘れてはなり立たない物になるのです。命を守るための情報が増えることになりますが、これを生かすのは人々の備えが基本なのです。
 ここに説明してきた意図の証明を統計的に進める事が今後も続くと思います。善の側の自然との協力、協調があれば地震を予知して対策をする上でも大きな進歩になるでしょう。科学の進歩がこの意図を明確にするとは全く予想出来ませんでしたが、この意図に私たちは向き合う時期になっています。自然とは協力、協調すべきでありその脅威に怯えるだけではない新しい関係を築く時なのでしょう。

稲生雅之
イオン・アルゲイン
7月2日修正 地震予知の状況説明が不十分との指摘があり、説明を追加しました。