東京電力さんと国は、津波により電源が喪失し、事故に至ったとしています。今日はこの件について解析したいと思います。
先月27日の国会で、全電源の喪失は、津波の及ばないところにあった送電鉄塔の倒壊が原因であり、この鉄塔が倒壊しなければ、電気は外部から供給できたと確認されました。つまり地震と津波により電源が喪失したのであり、津波だけなら電源は喪失しなかったのです。
事故の原因も本当はどういう状況だったのでしょうか。まず一つ目の嘘を国会が明らかにしましたが、他には嘘はないのでしょうか。今思い返してみるとおかしな話しはたくさんあるのです。
外部と非常用の電源が喪失したあとで、電源車が手配され、使われる予定でした。でもプラグがあわないとのことで、結局電源が失われてしまい、事故に至ったとされています。一つの嘘は普通、たくさんの嘘を必要とします。今回はどの様な状況なのか確認したいと思いました。
プラグが合わないとしても、本当にその電源が必要であれば、出来る改造をその場で始めます。必要な電力に対して出来ることがあると思えてしまい、絶縁と電線の接続の問題なので、車に乗る程度の電力なら身近にある電線他を使って少しでもモーターが動く状態を目指して何でもすると思います。原子炉の状況を思えば最大限の可能性を追求したでしょう。プラグの交換も本当に検討しなかったのでしょうか。
率直に言って、プラグが合わないだけであきらめられる状況ではないのです。そこにいる人達が電気についての知識はないとは思えないので、ただプラグが合わないという説明に不自然さを感じるのです。最大限の努力をせずにECCSという非常用炉心冷却装置の動作をあきらめるとは思えないのです。性能の10%でも良いので動作させ、まずは時間を稼ぐことが必要ですし、その時間の中で出来ることを追求すると思います。
正直私はこの説明が信じられません。最後の頼みの綱を簡単にあきらめる理由が分からないのです。原子炉を暴走させる事に繋がる事象の発生を目にしながら、最大限の努力をした形跡が見られないことに、非常な不自然さを感じます。加えてその場合にプラグの合う電源車がないという事態が、非常用に手配した物としては非常におかしいです。
この件は政府と東京電力に質問をしてゆくことで何となくぼろが出てくる気がします。何のための電源車なのか、普段訓練をしていなかったのかなど、突っ込みどころはたくさんありますが、その様な質問はマスコミからはなされていないと思います。
ネットで調べると、必要な480Vや6,900Vの交流の確保が1~2日で不可能とは思えません。自衛隊も含めたオール日本でこの事態はやはり不自然です。ネットに出されている意見もその不自然さを指摘していました。
炉事故津波前 の解析結果
2011年3月11日の震災により原子炉事故が起きている。
塔の事故により線が切れ、老朽化により、配管が割れ、モーターとECCSが損傷している。揺れのせいである。冷却水と溶け出した核物質が漏れている。
支配者は国民を騙している。支配者の交代、実質的会社の倒産により賄賂による支配が崩壊すると、情報が公開される。
電源をつないだけれども、モーターは既に損傷していて、動作しなかったと考えることが自然です。ECCS非常用炉心冷却装置が地震により損傷していたので、動作しなかったと言うことです。
この事はこの先誰かが明らかにしてくれることになると思います。東京電力さんは恐らくプラグが合わない理由の説明を準備していると思いますが、いずれ論破されることになるのでしょう。
現実に外部電源は既に回復していますが、ポンプが回る前に汚水処理が必要とのことで、冷却作業はなかなか進まない状況にあります。強い放射能の中、現地で頑張っている人たちは本当に立派だと思います。
電源が回復してもすぐにECCSの動作が可能になったとは聞こえて来ません。やはり地震によりその時点から壊れていて動作しなかったのだと思います。
電源の喪失原因は、非常用電源が津波でもっていかれたことにもあります。でも、送電鉄塔が地震で崩壊しなければ、外部電源は動作できたでしょう。この部分は地震の想定が甘いのであり、震度6、設計値の126%で損傷したのでした。
受電設備も地震で損傷を受けていますので、結局地震により炉の安全維持に必要な部分は損傷を受け、役に立たない物になったのでした。
この状況が明らかになるまでにはもう少し時間がかかります。東京電力の公式見解はまだ津波による全電源喪失のままです。自社の責任を認められないのも今までの流れから仕方のないことですが、国会で指摘されても直らないのには疑問を感じます。
結局今の政府が東電を守っている間は、なかなか事態は好転しないのかも知れません。
政権は必ず交代しますし、東京電力は賠償責任により実質的に倒産状態になってゆくでしょう。賄賂が使えなくなると口止めが難しくなり、守ってくれる政治家もいなくなって情報が公開されることになると思います。
ここまで進んでやっと責任の所在が明確になります。もっと安全に使えた原子炉を事故に遭わせたのは、リスクと引き替えの利益の追求しか考えなかった東電の首脳陣であることが明かとなるでしょう。
次回は出張の都合で17日火曜日になると思います。よろしくお願い致します。
稲生雅之
PS
前回の体内被曝の件で寄せられたコメントに考えさせられる物がありました。追加の説明が必要になると教えて頂いた形となりました。ありがとうございます。
100mSv以下の放射線被曝について、ほとんど影響がないとする意見があるのです。これは前回も書いたとおりですが、これ以下が安全でないとする意見を覆す事実がホルミシス効果として見つかり、規制が甘くなる方向に進む土壌が出来つつあるのです。
現実には日本政府もこの流れを利用して基準を250mSvに上げ、500mSvに上げることさえも検討し始めていると聞いています。数値を上げないと、作業員が基準越えで作業できなくなってしまうからでもあります。
この数値が体内被曝を含まないことが、一般向けの基準でないことが、どうしても目に入らないようです。100mSv以下で問題があるとする意見の問題点を指摘することがおおくの陰謀論者さんには受けるようで、情報の少ない体内被曝の話しには根拠がないとして、弱い被爆とみなされ注意が向かないと分かりました。
私としては放射線防御を行った成人男性であれば、100mSvは大丈夫ですと話しをします。でも無防備の子供達には20mSvは大きすぎると思います。体内被曝を評価したデーターがないのにこの数値はあまりにも無謀で根拠のない物です。
絵を使った説明はこれから作成します。問題は体内に取り込んだヨウ素やセシウムのベータ線による損傷です。
特に甲状腺にはヨウ素が蓄積し、その部分だけが損傷します。その結果が世界で認められているチェルノブイリの子供達の甲状腺がんなのに、この事実さえも見えなくする説明が、100mSv以下なら大丈夫としてなされているようです。
彼らはホルミシス効果だけを見る説明で満足し、ヨウ素が甲状腺に集中することの意味も言葉だけでは想像できない様でした。十分なデーターも説明も存在しないことが問題なのでしょう。
被爆した総放射線量は、当てた量に対して体重に比例して変化します。重ければ思いほど、体が大きければ大きいほど放射線をたくさん浴びるという話しです。
100mSvで体全体に放射線を浴びると、甲状腺にはその体重の比率で放射線が届きます。60kgの体重の人であれば、恐らく100g程度の甲状腺なので、その600分の1が甲状腺に届く放射線になります。約0.2mSvです。
体内から被爆する場合で考えます。体内に取り込むヨウ素は甲状腺に取り込まれます。仮に取り込まれた量の20%がヨウ素として甲状腺に届くとすると、1mSvを体内に取り込むと、体外からの0.2mSvと同じになります。体全体への100mSv、体外から甲状腺への100mSv相当がたったの1mSvの体内取り込みで起きてしまうのです。(数値はいろいろ調べて適切な物を選び、改めてシミュレーションします)
どの様にして1mSvを体内に入らないようにすればよいでしょうか。何の対策もしないで20mSvの校庭で体内に放射性物質を取り込んで蓄積してゆくことが、いかに危険なことであるかをご理解頂ければと思います。
20mSvに居て、防塵服などの対策をしなければ、時間に比例して20mSvが体内に取り込まれるのです。そしてこの数値は時間と共に20mSvを超えてゆくことにさえもなり、大きな被爆になってゆくのです。
どれだけが体に吸収され、どれだけの悪影響があるか、統計的に正しいデーターが存在しないので、評価が難しいのが現実ですが、チェルノブイリと比較する事で、参考には出来ると思います。
福島で既にチェルノブイリの10分の1の放射性物質が放出され、今もまだ放出は続いています。10分の1でも確率的には影響が10分の1あると言え、福島県の人口に比例してこれから影響が起きてくるのです。
この影響はチェルノブイリ同様に2年とか5年かかるかも知れませんが、統計的には明かとなります。ここまで進まないと現状では問題になりにくく、悪い人たちはこの事を理解した上で甘い基準を福島県に押しつけているのです。小佐古さんはこの点、時間がかかることにも危惧をしている事になるのです。
私達はチッソという会社が起こした水俣病の問題で、既に御用学者が事実を認めず健康被害を広げてきた実例を知っています。今再び同じ過ちを起こさせられるのか、私達が問われているのです。
政府は原子力政策を行っている側であり、御用学者を使って規制数値を20mSvにしたのです。これでは時間と共に体内被曝は非常に大きな物へ蓄積されてゆきます。事故の収束していない現状で何の対策もしなければ、甲状腺がんを始めとする健康被害の発生率は大きくなってしまうことになるでしょう。
この説明だけではまだ分かりにくいかと思います。体内にヨウ素が取り込まれ、甲状腺に集中し、がん化する可能性のあることを視覚的に訴える必要があるようです。
なるべく早く1mSvの規制値に戻し、この水準を超えているところには出来る限りの対策をする事が、多くの人の、多くの子供達の健康を守ることだと思います。